採用工数48%削減!AI面接を使い倒す実践ノウハウ集——エンの中途採用事例(事務・アシスタント職編)
ポイント
- 一次面接をAI面接に置き換え、日程調整をゼロに。選考フロー全体の工数を48%削減
- AI任せにせず、人によるダブルチェックと10回以上のテストプレイで、選考の質を担保
- 案内文や受検期限の改善により受検率が130%向上。24時間受検できる利便性も候補者から好評
「AI面接は本当に使えるのか」——導入を検討する採用担当者が気になるのは、現場での実際の運用感と数字ではないでしょうか。エン株式会社では、事務・アシスタント職の中途採用にAI面接を導入し、選考フロー全体で48%の工数削減を実現しました。本記事ではデータも交えながら、AI面接を「使い倒す」ための実践ノウハウを、実際に担当した久志本さんへのインタビュー形式でお伝えします。
1. 急増する採用オーダーと、現場を逼迫させていた面接工数
ー久志本さん、今日は事務・アシスタント職の採用におけるAI面接活用について伺わせてください。導入前、かなり厳しい状況だったと聞いています。
久志本さん:はい。2025年の冬、急遽8ポジションもの事務・アシスタント職の採用オーダーが入ったのですが、当時人事は他のポジションの採用で手一杯で、全く手が回らない状態でした。
ーそのため、現場の社員の方に一次面接を依頼されたのですね。
久志本さん:そうです。ただ、事務・アシスタント職は応募者数も多いため、1ポジションあたり1日1〜4件もの面接対応が発生してしまいました。現場の社員が日々面接対応に追われ、本来の業務に影響が出ているのはすぐに分かりました。このままでは継続的な採用活動が立ち行かなくなる——そう判断し、AI面接の導入を決断したんです。
2. 選考フローを根本から刷新する——「AIへの丸投げ」はしない
ー具体的にどのような対策を打ったのですか?
久志本さん:採用フローそのものを大きく変える決断をしました。特にボトルネックになっていた、現場の工数を奪う「一次面接」のプロセスをAI面接に置き換えました。
【選考フローの刷新】 Before:書類選考 → 適性テスト → 一次面接 → 最終面接 After:書類選考&AI面接 → 適性テスト → 最終面接 |
ー思い切った変更ですね。ただ、「AIに任せて選考の質が下がらないか」という不安はありませんでしたか?
久志本さん:当然ありました。ですので、「AI評価のみで合否は出さない」と決めました。AIが作成した議事録と仮スコアを前提情報として人事が確認する運用です。AIによる仮判定という「下地」があるおかげで、動画を最初から最後まで全部見る必要はなく、要点だけをチェックすれば良いため、工数は劇的に減りました。人事がWチェックをして問題ないと判断した候補者のみを推薦する。この「人による最終担保」をフローに組み込んだことで、選考の質も担保できました。

3. AIを賢くする「テストプレイ」と、正直な「弱点」との向き合い方
ーAIによる評価スコアの精度はどうやって高めたのでしょうか?
久志本さん:最初は苦労しました。人間の面接で行なう3段階評価の基準をそのままAIに入れてみたのですが、全員が同じようなスコアになり、差がつかなかったんです。そこで評価を3段階から「5段階」に変え、レベルごとに「行動例」「発言例」まで具体的に定義しました。また、人事以外の社員にも協力してもらい、あえて態度の悪い候補者や優秀な候補者を演じてもらう「テストプレイ」を10回以上行ない、評価スコアを出すためのプロンプトを修正していきました。
ーテストプレイを繰り返しながら、AIによる評価スコアの質を高めていったのですね。AIが候補者にする「質問の設計」で難しかったことはありますか?
久志本さん:正直に言うと、AIは「候補者の回答内容によって、次の質問を分岐させる」という判断がまだ少し弱いんです。なので、無理に分岐を作らず、最初の質問で必要な情報を網羅できるように「質問の設計」を工夫しました。例えば「時短勤務希望かを教えてください。希望される場合は、その理由も教えてください。」のように、二段構えで情報を取るようにしたのです。これも、テストプレイを繰り返して磨き上げました。
4. AI面接の受検率130%UP!候補者を動かす「案内文」のABテスト
ーAI面接の受検率を高めるための工夫もされていたとか。
久志本さん:はい、まずAI面接の案内文でABテストをしました。あえてシンプルに「AI面接を受検してください」とだけ書くパターンと、「AI面接を実施する意図を丁寧に伝える」パターンの2種類です。特に「書類だけでは伝わらない経歴の背景や強みを、人事が事前に深く理解するためのAI面接である」ということを丁寧に伝えました。結果は、前者より後者の方がAI面接の受検率が130%も高かったんです。なぜAI面接を導入しているのかや、最終の合否判断はAIではなく人間がすることなどを丁寧に説明したことが、受検率アップに繋がったのだと思います。

また細かいですが、AI面接を初めて受検する方が多いと想定し、心理的ハードルを下げるための情報も一緒に伝えました。
- PCはもちろんスマートフォンでも受検できること(スマホでも評価は変わりません)
- 24時間いつでも受検可能なこと(深夜でも問題ありません)
- 私服でリラックスして受検してほしいこと(土日や夜間に受検する方も多いので、スーツに着替える必要はありません)
こうした一言を添えるだけで、候補者が安心して受検に臨める環境をつくることができたと思います。
さらに、AI面接受検の締切も、「7日以内」と「3日以内」の2パターンでABテストをしました。「7日以内」が最適という結論になりました。3日以内だと「締切を延ばせませんか?」という問い合わせが殺到し、逆に調整工数がかかってしまったんです。7日なら必ず土日を挟めるので、平日忙しい候補者からもポジティブな反応が得られました。
5. 半数が土日・夜間に受検。24時間受検可能なAI面接ならではの結果
ーAI面接を受けた候補者からはどんな反応がありましたか?
久志本さん:「AI面接は冷たい」と敬遠されるのではと、最初は不安でした。実際に候補者に話を聞いてみると「面白かった」「24時間いつでも受けられるので助かった」というポジティブな声が非常に多かったです。「AIですべて合否判断されるわけではない」という趣旨を事前に伝えていたこともあり、候補者体験を損ねることなく、むしろ向上させることができました。
特に「24時間365日、好きなタイミングで受検できる」というAI面接の特性は、データにも表れました。AI面接受検日時のデータを分析すると、受検者の約半数(50.2%)が平日の面接対応時間(9〜18時)以外に受検していたことが分かったんです。

土日や深夜に受検している方も多く、「いつでも受けられる」というAI面接の特性が、候補者の利便性向上に直結していることがデータからも裏付けられています。
実際、平日の面接は就業中で難しいという候補者がおり、「AI面接は土日に受けられるので助かった」という声をいただいたこともあります。
6. 工数48%カットの正体。日程調整ゼロと、現場が本来の仕事に戻れた話
ーAI面接を導入することで、当初課題になっていた業務過多は解決されましたか?
久志本さん:まず、一次面接の日程調整にかかる時間がゼロになりました。8ポジションの採用にあたり、元々1日100分程度かかっていた日程調整が、AI面接では共通URLを送るだけ。手間は完全にゼロです。
さらに、一次面接および面接評価にかかる時間も、人間による「Wチェック体制」を加味しても80%程度カットできました。
これらを合わせると、選考フロー全体で48%の工数カットを実現しています。

面接対応に追われていた現場の社員からは「本来の業務に集中できるようになって本当によかった」という声をもらいました。候補者にとっても、日程調整のタイムラグが減ることで、応募から入社決定までのスピードが上がり、双方にメリットのある変化だったと感じています。
おわりに:AI面接は万能じゃない。だからこそ、人間の設計力が問われる
ー最後に、これからAI面接の導入を検討している方へメッセージをお願いします。
久志本さん:正直に言うと、AI面接は万能ではありません。私たちも最初はうまくいかないことだらけでした。
大事なのはまず、「自社の採用で何が課題なのか」を言語化すること。そのうえで、AI面接をどんな目的でどこに組み込むのかを考え抜くことが出発点だと思います。
正直、導入直後は「思ったより大変だな」と感じました。それくらい、導入後の設計が重要です。AIが最適に動くためには、人間が泥臭く仮説を立てて、検証して、修正し続けることが必要です。私たちもまだまだ仮説検証の途中です。
そして最後に一つ。人を感動させること、最後に候補者の背中を押すこと——これはAIにはできません。AI面接が担うのはあくまでその「前段階」。人間が本当に大事なことに集中できるよう、AIをうまく使いこなしていきたいと思います。
取材後記
今回、久志本さんへのインタビューを通じて感じたのは、AI導入の成功は「ツールの力」だけでなく、現場の課題に合わせて細かくチューニングを繰り返す「設計力」にかかっていることでした。「AI面接で効率化したいが、質も落としたくない」と悩む担当者様には、ぜひこのプロセスを参考にしていただければと思います。
エンでは他の採用ポジションにおいても、AI面接を積極的に活用しています。詳細はこちらをご確認ください。
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